るーちゃんブログ

24歳OL。ガリ勉の高校時代を経て、第一志望の大学に入学。そのままとんとん拍子で第一志望の企業に就職するもメンタルがやられて人生初めての挫折。キャリア、メンタル、ときどき恋愛の話を書きます。

小野寺史宜さんの小説「ひと」を読んだ休職中の24歳OLの感想

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久しぶりにこれは面白いな!という小説を読んだので、ただ感想を書きます。

 

このブログは「るーちゃん」という得体の知れないOLが書いています。

るーちゃんは社会人2年目ですが、仕事でメンタルが崩壊してしまい、現在は休職しています。

 

メンタルが崩壊した直後は大好きだった読書もできないくらい弱っていたのですが、

やっと本が読めるくらい回復したので読んだ本がこれです。

 

久しぶりに読んだかつ素晴らしい本だったということで感想を書かずにいられなかったので

読む本に飢えている人はぜひ参考にしてください。

 

普段本を読まない漫画派の人も1日あれば読めるのでぜひ。

できるだけネタバレしないように書きます。

 

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↑ちなみに2019年度本屋大賞第2位を獲得しています。

私だけじゃなくてみんなが面白いと言ってますね!

 

 

あらすじ

 

母の故郷の鳥取で店を開くも失敗、交通事故死した調理師だった父。

女手ひとつ、学食で働きながら一人っ子の僕を東京の私大に進ませてくれた母。

ーその母が急死した。

柏木聖輔(かしわぎせいすけ)は二十歳の秋、たった一人になった。
全財産は百五十万円、奨学金を返せる自信はなく、大学は中退。
仕事を探さなければと思いつつ、動き出せない日々が続いた。

そんなある日の午後、空腹に負けて吸い寄せられた商店街の惣菜屋で買おうとしていた最後に残った五十円のコロッケを見知らぬお婆さんに譲った。

それが運命を変えるとも知らずに・・・。

ひと特設ページ (引用先)

 

あらすじからしてめちゃくちゃヘビーです。

二十歳にして両親共に亡くなり、頼れる親戚もおらず一人で生きていかなきゃいけない状況。

東京の私大に通っている人で、そんな状況になる人ってなかなかいないですよね。

 

 

私だったら大学を辞めるか

めちゃくちゃ月並みな展開ですが、私が主人公の柏木くんを同じ状況になったらどうするか考えました。

私も柏木くんと同じように大学は辞めます。

全財産が150万の中で学費はかなりの痛手です。

 

もちろん大学に通いながら生活のためにバイトをする手もあります。

でもそっちの方が精神的に絶対辛いです。

 

同じ年代の友達はゆるくバイトをしてゆるく授業受けて、後の時間は遊びに費やしているのを見ながら、生活のために全力でお金を稼がないといけないのは酷すぎます。

 

比べなければいい話ですが、人というのはどうしても比べてしまう生き物です。

だったら距離をおく選択をします。

 

 

仕事はどうするか

少しネタバレになりますが、柏木くんは大学を辞めた後、商店街のお惣菜屋さんでアルバイトをすることになります。

私だったら仕事どしようかなぁ。。ここで少し立ち止まってしまいました。

 

自分が仕事でメンタルをやられる前は正直、若いうちはなんでもできると思っていました。

いざとなれば日雇いの仕事で食いつないでいけばいいやと。

 

でも今は違います。

メンタルがやられるくらいなら人に頼っていい

そう思います。

 

柏木くんはなんとか一人で生きていかなきゃとお惣菜屋さんのアルバイトを一生懸命します。

その中で大学時代の友達とかお惣菜屋さんの店長とか、いろんな人が手を差し伸べてくれます。

 

でも柏木くんは「どうしてもの時はその手を借りよう」という99%くらい借りる気がないんだうなぁという反応をします。

 

私が柏木くんを同じ20歳の時だったら同じように手は借りないという選択をすると思います。

人に手を借りるのは甘えだし、迷惑をかけたくない、そう思うからです。

 

でも24歳になった今の選択は真逆です。

ありがたく手を借ります。

 

 

人に頼ることも悪くない

私は自分で言うのもアレですが、隠れ負けず嫌いな性格です。

自慢したいわけではなく、事実として大学受験も就活も第一志望で通ってきました。

 

そして第一志望だった会社に就職して、メンタルをやられるという挫折をしました。

自分の人生で一番大きな挫折です。

 

思い返せば受験も就活もほとんど人の手を借りずに乗り越えてきました。

だから「人に頼る」ということが苦手なまま社会人になってしまいました。

 

そして仕事を抱えすぎてメンタルがやられてしまいます。

あんなに手を差し伸べてくれた人がいたのに自分で抱え込んだせいです。

 

メンタルがやられてからも周りの人は優しかった。

仕事のフォローも全部やってくれました。

 

メンタルがやられてから初めて、人に頼っていいんだなということを覚えました。

そしてそれは甘えじゃないということも。

 

人生でいい時もあれば、悪い時もあります。

悪い時はお言葉に甘えて頼る、いい時は親切にすればチャラです。

 

頑張り屋さんほど人に頼るのが苦手です。

頑張り屋さんほど自分が頑張り屋さんだと認めません。

 

私もそうでした。

周りからは頑張り屋さんと言われても、いやいやまだできると思っていました。

 

でも一人でできることには限界があります。

そんなことも改めて気づかせてくれる本でした。

 

 

逆境に立たされるもの悪くない 

 20歳で両親共々亡くなるってできることなら起こって欲しくないですよね。

でも主人公の柏木くんはそれに悲観せず、前向きに生きようとします。

 

そして普通に大学に通っていたらできない経験をたくさんして、「ひと」として成長していきます。

 

今と変わらないというのもいいです。

安定した幸せが欲しいです。

 

でも安定した幸せってなんでしょうか?

主人公のように突然近い人が亡くなったり、長く勤めていた会社が倒産したり。

 

生きている限り、いつどこで何が起こってもおかしくありません。

そんな逆境に立った時にあなたはどうしますか?

 

今の安定していると思っている生活を続けるのが正解でしょうか?

 

私はこの本を読んで逆境に立たされるのも悪くないなと思いました。

逆境に立たされた主人公がキラキラしていたからです。

 

当たり前の生活は実は当たり前ではない?

「ひと」を読み終わった時に一番最初に思ったことです。

ひとはいつ死ぬかわからないし、いつ震災がくるかもわかりません。

 

普通に仕事の行き来をする日々ではなかなか気づきません。

普通に生活できる程度のお金があって、普通に家族や友達とご飯を食べる。

 

当たり前のことに改めて感謝し、いつ何が起きても後悔しない人生でありたいと強く思いました。

と言いつつゴロゴロしちゃうんですけどね。

 

ゴロゴロしたい時はそうするのが一番なので、それはそれで悪くない。

メンタルをやられてからはそう思うようになりました。

 

私のようにメンタルがやられている人は勇気づけられる作品です。

メンタルがやられてなくても読み終わるとほっとする作品です。

 

そして誰が読んでも読んでよかったと思える作品です。